■行事に対する考え

●久里浜幼稚園の運動会には競争と順位があります
■「幼児のうちから何も順位をつける必要なんかないじゃないか」という意見を反映して、幼稚園や小学校の運動会の競争から順位をはずしてしまい、「みんな仲良くゴール」というかけっこを行う幼稚園や学校が増えてきました。でもかけっこに順位がないならいったい何を目標にかければいいのでしょう?
■年長にリレーの競技があります。運動会が近くなると、子どもたちがより早くかけることを目指して練習をします。グループ通しで「こっちが勝ったぞ」「今日は黄色が負けた!」という気持ちが、仲間意識や向上心を引き出します。先生も夢中になって応援しますし、当日応援してくださるお家のかたがたも夢中になることができます。この気持ちが子どもに伝わり、思いっきり走るという快感を味わうことができるのです。
結果は重要ではありません。しかしいつも6番目にゴールしていた子が5番になった時は喜ぶこと、あるいは「残念!転んじゃった」でもひざをすりむきながら、泣きながらでも最後までかけたという体験だってとても重要です。こうした体験は順位がなくては味わうことができません。
■あえて、久里浜幼稚園の運動会では競争に順位をつけています。

●運動会には鼓笛隊ではなく鼓隊が出場します
■厳しい練習を繰り返すと、子どもたちは驚くほど上手に太鼓をたたくことができます。ただし、そのためには行事の前にすべての保育を犠牲にして、かかり切りにならなくてはいけません。また、上手な子だけを選抜して出場させる必要も出てきます。まして地域の幼稚園と共にフェスティバルなどを開くと他園に負けないためにもよりすばらしい演奏をめざさなくてはならなくなります。
■幼稚園の生活は、行事だけでなりたっているわけではありません。むしろ毎日の平常の保育の積み重ねが重要なのです。
■このために、久里浜幼稚園のドラムマーチからは「笛」つまりメロディー部分を抜いてしまいました。子どもたちは園長が編曲したスピーカーから流れる音楽に合わせて、打ちやすい簡単なリズムを刻むだけです。これだけでも曲に合わせてリズムを刻む心地よさを充分に味わうことができますし、保育時間への負担も少なくなります。年長全員が参加しますからその迫力は大したもので、聞いているだけで涙ぐんでしまう程の感動を与えてくれます。もちろん地域のフェスティバルには出場しません。
■だから久里浜幼稚園のドラムマーチは、鼓笛隊ではなく「鼓隊」なのです。

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